第16話|治療院、就職活動のはなし

就職の問い合わせをたくさん受けました。
「そちらで働かせてください。私は合気道をやっているので、気に関する知識がたく
さんあります」
「免許はないのですが、30年のキャリアがあります。25万以上は欲しいのですが」
などなど。世の中はツワモノ揃いだと、つくずく感じます。
上記のような電話は、院長にも取り次がずに断ってしまいます。
募集する側としては、電話での第一印象から、いろいろな想像をめぐらせます。面接の約束をしたとしても、
「やたらと間延びした話し方だったから、だらしない奴じゃないだろうか? 約束してそんしたかも」
「なんか、暗い感じの人だった」
「はきはきした声で、言葉も丁寧だし、ちょっと期待できるかも……」
という潜入観念を持ってしまいます。そして、第一印象というのは、なかなか消えません。電話での言葉遣いには、できるだけ注意してください。
それから、携帯電話からの問い合わせも、良い印象を与えません。通話状態が改善されたとはいえ、くぐもって聞こえます。突然、電波が途絶えるかも知れません。自宅に電話機がない人は、公衆電話を使うほうが良いと思います。
面接の時には、事前に言われなくても、白衣かケーシーの上を持参しましょう。
「ちょっとやってみて」
と言われて、さりげなくバッグから白衣が出てきたら、
「この人、真面目」
と思ってしまいます。態度が悪いけど技術がある人と、技術はまだまだだけど、真面目で誠実そうな人がいたら、たいていの人は後者を選ぶはずです。なぜなら、治療院は人を相手にした仕事だからです。
そのため、言葉遣いは特にじっくり観察されるでしょう。身だしなみはすぐに整えることはできても、不明瞭で奇抜な喋り方はなかなか治りません。
「面接の注意点は、自分の方針を簡単に曲げないことですかね」
原稿を書く前に、就職活動についてスタッフの一人と話をした時、真っ先に彼が言った言葉です。
彼は学校を卒業してから就職活動を開始し、治療院や接骨院をいくつも回り、4月18日に当院にやって来ました。
彼の感想を要約するこうです。
「自分が思うような職場はなかなかない。でも、住めば都で、どうにかなりそうな所はけっこうあると思う。難しいのは、自分の許容範囲をどこに置くかかというところ。
面接に行って初めて院長と会い、治療院を見て、自分にはいかにも不向きな職場だと思ったら、良い返事がもらえても焦ることはないと思う」
「就職難なんだから、働けるならどこでいいだろう」
という声が聞こえてきそうですが、長い目で見たら、彼の意見は正しいのではないかと僕も思います。