第13話|病院勤務のはなし(裏)

前回の続きです。(前回をごらんでない方はこちらへ)
問答集(病院勤務編)

問:病院へ就職して失敗した、と思うことは?   
患者数が多くて大変だと思うのですが?一人に費やす時間も限られているだろうし。

答:いえ、それはないですね。治療院勤務の経験がないので単純に比較はできませんが、よほど「この師匠に従事したい」とかいう情熱を持っている人でなければ、若いうちは病院へ勤めるというのもひとつの方法だと思います。経験もなしに開業して、良い仕事ができるとも思えないし。

問:では、仕事を辞めようと思ったこともないですか?

答:それは多分にあります。僕には同僚がいませんからね。上司であるドクターに相談できないことを、誰に相談すれば良いかとか、パートさん達とドクターとの間で苦悩する、いわば中間管理職的な部分もあります。苦労は絶えませんよ。

問:楽な部分ばかりではないようですね。 
では、病院就職を考えている方へアドバイスをお願いします。
どんな病院を選ぶと良いですか?

答:現在、希望通りの病院を選択できるほど、景気は回復していません。選択の余地はないものだと考えてください。
幸運にも選択肢があるのなら、なるべき大きな病院へ入ることをお勧めします。職場での出会いのチャンスは大切にしたほうが良いでしょう。小規模な医院だと、恋愛、結婚に限らず、新しい出会いはほとんど期待できませんから。
それから、まあ当たり前のことですが、家から近い職場を選ぶのが良いでしょう。特に視覚障害者の場合、ラッシュや乗り換えには苦労させられますからね。それに、必ずしも交通費を出してくるとは限りません。現に友達は、給料の中から交通費を出しています。

問:出会いが少ないんですねえ。
患者さんと看護婦さんが結婚する、なんて話を聞くこともありますが?

答:ウチの場合、規模が小さいのでそういうことはないですね。受付には若い女性もいますが、既婚の方ばかりです。基本的に職場でそれを望むのは無理に近いものがあると思います。

問:なんかしんみりしてきましたねえ。
さて、気を取り直して最後の質問です。
病院でマッサージを上手に受けるコツを教えてください。

答:マッサージに限定されてしまうと、なかなか難しいのですが・・・。
治療時間は一人に3分くらいと、かなり短いです。だから、

●自分の順番が回って来そうだな、という頃には薄着になって、患部を診やすいようにしておいてください。 面倒でも薄着になっていただいたほうが、より効果的な治療が行えます。

●辛い場所を的確に治療者に伝えてください。  遠慮して症状をはっきりおっしゃらない方が多くいらっしゃいます。 どんな時に、どうすると痛むのか?、辛い場所はどこなのか?、などなど。とにかく具体的に教えてください。

●病院で気持ちよさを求めてはいけません。  病院でのマッサージは治療的側面が強く、いわゆる慰安的な側面はかなり薄いものです。よく患者さんに  「もっと長くやってもらいたい」  と言われます。しかしそれは、純粋に快楽を求めているのであり、治療的側面からすれば、必要以上に長時間もむことはかえって身体に悪影響を与てしまいます。治療時間が短いのは、そのように考えているからです。

●でも、たくさんマッサージを受けたいと思う時には、診察の際に、医師にはっきりと伝えてみてください。  「マッサージを受けると楽になる」  と聞けば、積極的に組み込んでくれるはずです。現に「長めに」というドクターからの指示も来ることがあります。  またそれ以外の部分で、もっと長時間のマッサージを受けたいとか、指圧やはりなどを積極的に受けたいという方には、治療院を訪ねられることをお勧めします。ただしこの場合でも、できれば主治医の指示、許可を仰いだほうが賢明でしょう。

このように言うと、治療院は別物のように思えるかもしれませんが、厳密に言えば守備範囲の違いということになります。
西洋医学でフォローできない部分を、東洋医学を用いた治療でカバーしてもらう、というのが僕の考える病院のあり方です。まずは西洋医学的な、画像診断を基本とした診察に基づく診断と、物理療法、投薬、手術などの西洋的なアプローチによる治療が優先されるべきだと考えます。
治療院などとは、おそらく考え方が逆行しているかもしれません。治療院を訪れたことのある方ならお分かりでしょうが、まずあん摩や指圧、はりなどの治療があり、補助的な治療として温熱療法などの物理療法を併用していると思います。

単純にどちらが正しいとか、どちらが偉いとかいうものではなく、守備範囲、住み分けがなされているものだとご理解ください。西洋医学も完璧ではありません。治療院がそれを補い、少しでも多くの患者さんの苦痛を取り除ければ、お互いの利益に繋がります。
理想を言えば、病院と治療院とが連絡を取り合い、連携し、互いに協力し合える体制が整えば最高だと思います。
そういう意味では、 病院と連携をとりあえる治療院を発見することも、病院で治療を受けるコツかもしれませんね。

問:ご協力ありがとうございました。
同じ業界にあっても、立場が違えば見識も異なるものです。『気持ちeはなし』の視野が、これで少し広がりました。今後も保谷さんには、折に触れて意見を求めて行きたいと思います。

付録  協力者募集のはなし

「問答集、病院勤務編」のようなインタビュー企画を、今後も続けたいと思っています。この業界、あるいは周辺には、いろんな考えを持った方々がいるはずです。  奇特な方、ぜひ協力してください。原稿料はお支払いできませんが、時間をかけて、双方が納得の行く記事を作りたいと思っています。
●はり・きゅう・マッサージの、出張治療をされている方
●新幹線の中でマッサージの仕事をされている方
●高速道路のパーキング内で、マッサージの仕事をされている方
●企業内医療に携わっている方
●養成施設や学校の講師、教員のみなさん
●柔道整復師として働いている方
●理学療法士として働いている方
●接骨院・整骨院に勤務している方
●整体やカイロプラクティックを業としている方、
●東洋医学・マッサージを積極的に取り入れている医師の方
●医療品メーカーに勤務されている方
●ペットのはり治療をされている方
●総理大臣の、おかかえ鍼灸師だった方
●スポーツ選手を洗脳しちゃった方
●温泉マッサージをしながら、日本全国を旅している方
●カリブ海のリゾート・ホテルでマッサージしている方
●クマにマッサージをした経験をお持ちの方
●有名人にヘンなことされた経験のある治療家
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ぜひぜひ、声を聞かせてください。
まずはメールでお問い合わせください。お待ちしています。