第01話|気持ちEはなし

犬も「こり」を感じているか

二足歩行は、「こり」の大原因 「二足歩行するようになってから、人間は肩こり腰痛を感じる ようになった」 「こりは人類の宿命である」 健康番組などを見ていると、こういう説明をよく耳にします。 腰の筋肉は常に上半身を支え、両肩の筋肉はいつも左右の腕を、 それぞれぶら下げているからです。

ところで、地球には重力があります。私たちはふだん、この重力を はねのけて、二本足で立っているのです。そのため、ただ立っている だけでも、肩や腰にかかる負担は、四足動物よりもずっと多い訳です。 頭を支える頸や背中、ぶら下がっている腕、二足で身体を支えなければ ならない足も、「こり」やすくなっているのです。 だから、人間が立っている限り、「こり」はさけて通れないのだ、 というのです。
「こり」の具体的なメカニズム

「こり」には以下のような特徴や性質があるのではないか、 と考えられています。

@酸タンパク体説 筋肉運動によって生じた物質、乳酸(余分な乳酸)が筋線維と結合して「こり」になる。
A収縮残留説  筋肉が伸縮することにより身体動作は行われるが、疲労が 極限に達すると、実際には筋収縮していないのに収縮したままの 状態で固まる。これが「こり」になる。
B反射説  内蔵疾患の影響で「こり」が生じる。
C膨化説  小さな「こり」でも、周囲組織の水分を吸収して膨張し、 強い「こり」となる。

犬は「こり」を感じるか

前置きが長くなりましたが、いよいよ本題に入ります。

以前、実家に「大地」という名の雑種犬がいました。 学生時代は、大地を台にしてあん摩やマッサージ、指圧の練習を したものです。
初めて練習台になってもらったのは、一年生の終わり頃だったと 思います。お座りしている後ろにしゃがみ、学校で習った術式を、 一通りやってみたのでした。
大地は最初、不思議そうに頸をかしげたりなどしていましたが、 そのうち動かなくなりました。

やがて余計な力も抜けて、体を預けているという感じになりました。 そして頸のあん摩の時には、鼻面を突き出すようにして、 ちょっと目なんか細めたりしていたのです。 頸がかゆかったのかな、とも思いましたが、大地はノミ取り首輪をつけていました。 それに僕は、かなりの強揉み屋で通っていましたから、 相手が犬でも容赦しませんでした。痛いことはあっても、 撫でてもらって気持ち良いという心境にはなれなかったはずです。
なにより、あれは揉まれて気持ちよかった表情でした。 となれば、残された答えは一つです。 大地は、頸がこっていたのです。

考えてみると大地の頸も、頭を支えているのです。
人間よりは安定した体型をしているだけで、四足動物だって 重力をはねのけながら生きているのです。犬だけでなく四足動物も「こり」を感じている、というのが 僕の考えです。(これはあくまで私見です。)  その後大地は、僕が寄っていくと、いつも背を向けて お座りするようになってしまいました。  ウソみたいなホントの話てした。
原稿を書き終えて神田の書店に出かけたところ、スゴイ本をみつけてしまいました。
『犬・猫に効く指圧と漢方薬 ペットが喜び、元気になる』
シュワルツ・シェリル著 世界文化社 1999年。
本体価格 1600円

内容ですが、ツボの位置と効能がしっかり書いてありました。「足三里」「二間」「梁丘」などと、おなじみのツボが登場します。立ち読みなので確実なことは言えませんが、ツボの位置は人体と同じようです。前足が腕、後ろ足が足ということになります。  巻末には、鍼灸治療を取り入れている動物病院の一覧表までついていました。  本を見た瞬間、不覚にもちょっと唖然としてしまいました。でも冷静に考えてみれば、現代の獣医さんが行なっている診察や治療は、僕たちが受けている西洋医学と同じ医術なのですよね。  ということは、東洋医学も動物の身体に、しっくりと当てはまって当然なのでしょう。